カヤが転校してきた日の放課後。
俺と圭はいつも通り学校に隣接しているレッスンスタジオに来ていた。

このスタジオも秋原高校が運営しているもので、学校の生徒は好きな時に利用することができるようになっている。
「晴、転校は少しやりすぎじゃない?」

更衣室で制服からレッスン用の服へ着替えていると、圭がそんな事を言ってきた。
「なんでだよ? 今までだってそうしてきたろ」

「そうだけど……。今までの子はちゃんと自分の容姿を自覚していたから、芸能人の学校へ来ても努力次第で引けを取らなかっただけだよ。だけど、カヤちゃんは違うでしょ。全然自覚がないから努力をしようともしてないよ、あれ」

心配そうにそう言う圭。
俺は手早く着替えをすませ、室内シューズにはき替えた。
「知らねぇよ、相手のことなんか」