翌日。
あたしは気を落としたまま制服に着替え、1階へと下りた。
「おはようカヤ」

リビングダイニングへ入ると、香ばしいコーヒーと焼けたパンの香りが食欲をそそった。
「おはようユズちゃん」

あたしはすでに座って食べている姉のユズちゃんの隣に座った。
ユズちゃんは同じ桃谷高校に通う18歳だ。
ハジメはあたしとユズちゃんのことを美人姉妹だというけれど、ユズちゃんとあたしが並んだら月とスッポンだと思う。

もちろん、あたしはスッポンでユちゃんが月ね。
「カヤ、今日はなんか元気ないんじゃない?」
「そう?」

ユズちゃんは心配そうにあたしの顔をのぞき込み、そしてあたしの髪に指を通した。
「いたたたっ!!」