デートの途中拘束されたあたしは放心状態のまま、周囲の男たちを見ていた。
身動きは取れないし、口は塞がれているし、まさに八方ふさがりというやつだ。

あたしのスマホを勝手に使ったハジメは誰かに電話を入れて、ここのアパート名を言っていた。
今から誰かが来るのかな?

あたしの携帯でかけたってことは、あたしの知り合いを呼びだしたんだろうか?
でも、あたしの知り合いにこんなヤバそうな男どもがいる場所に来る人なんているっけ?
考えを巡らせてみても、誰1人として行きあたらない。

それでも、あたしにとってこの状況と打破してくれる人なら誰でもよかった。
それに……。
あたしは男たちと親しそうに会話をするハジメに視線をやる。
ハジメが悪人だったなんて今でも信じられない。

人はみかけによらないものね。
あたしも気をつけなくちゃ。