あたしがリビングからハジメを担いで出てくると、丸本ジィジが慌てて駆け寄って来た。
「カヤ様お帰りですか?」
「そうです、あたしはお帰りなんです!」

ブリブリ怒っているため、自分が妙な日本語を使っているということにも気がつかない。
丸本ジィジは慌てて車を用意し、あたしとハジメを乗せてくれた。

急だったから今日は丸本ジィジが運転手だ。
「先にお連れ様を送り届けましょうか?」

「そうね……でも気絶しているからお母様がきっと驚かれてしまうわ」
あたしは貴族ぶってそう返事をして、隣で寝ているハジメを見た。
ハジメの顔をよく見ると、顔面が青く晴れてきたような気がする。

おのれ、平野晴め!!
覚えておれよ!!
ムキーッとハンカチを噛みしめて怒りをこらえる。