色々とありながらも、あたしが最終的に連れてこられた先はステージ裏だった。
ステージ裏にはいくつもの衣装があちこちに掛けられていて、それはまるでカラフルな迷路のようだった。

他にもメイク沢山の道具、大きな姿見、コンサートに使うのであろう小道具が所せましと置かれている。
「こ、この中であたしはどうするんですか?」

あたしをここまで連れて来てくれた本物のスタッフに尋ねる。
「君は【ツインズ】の着替えを手伝って。曲の順番はこのボードに書いてある通り、曲名の横に書いてある数字と同じ番号の衣装を出してくれたらいいから」

比較的一般的な顔を持つ彼はそう言い、テキパキと衣装の場所を教えてくれる。
曲によって衣装を変えるのでその数は膨大だ。

あたしは壁に固定されたボードを睨みつけるようにして確認していく。
1曲目から3曲目までは同じ衣装。
そこから連続して着替えが入る。

「そんな心配しなくても、君はサブ的な役目だから大丈夫だよ」
「そ、そうですか?」
初めての場所に初めての仕事。