澄人さんは悪くないのに。むしろ、こんなに良くしてくれているのに私は自分の我儘を行動で表現してしまっている。最低だ。借金を立て替えてもらって、それだけで頭が上がらないほど十分すぎることなのに。澄人さんが優しいから。澄人さんの優しさにとことん甘えてしまっていた。
「……穂香、逃げないで。今日、一日俺と一緒にいてどうだったのか答えてほしい。まだ答えを聞いてなかったから俺の意見だけで親父に穂香の存在を明かすことはできなかった。『好きな子がいる』なんて通用しないし」
澄人さんは、私が何に悩んでいるかをすぐに察してくれていた。まるで頭の中が全部知られているみたいだ。私の全部がバレているんだとしたら、こんなのもう、「好きだ」と言っているようなもんだ。
「澄人さんは澄人さんに合う人がいると思います。私ではつり合いません」
「つり合わない」気づけば絶対に口にしないと決めた言葉を私はまた口にしてしまっていた。私はどうしようもなく最低だ。
澄人さんは私の目線に合わせるように、私の前にゆっくりと屈んだ。
「俺ね、今まで女性を断る口実で『つりあわない』って言葉をよく使ってた。ありがたかったよ。『キミは俺につり合わない』こう言えば皆納得してくれるから。でもね、穂香から今言われてみて、その言葉がどんなに残酷だったか……ようやく思い知らされた」



