……お見合い。その後も澄人さんは面倒くさそうにお父さんに返答しているが、話からしてみてご両親からお見合いを進められているようだった。
……それもそうだ。
澄人さんは財閥御曹司だ。それもただの御曹司ではない。完璧で、優しくて、かっこよくて、面白くて。庶民の私なんかにも気さくに話してくれる人だ。そんな人とどうにかなるはずもなかったんだ。
いくら澄人さんが親は関係ないと言っても私は気にする。気にするなと言われても気にしてしまう。
澄人さんは一方的に電話を切った後、ハアと大きく息を吐いた。「好き」と言わなくてよかった。言葉にする前でよかった。
「……穂香、ごめん。なんか親父がうるさくてさ」
持っていたスマホをテーブルの上に置き直した澄人さん。そんな澄人さんを見て、
「澄人さん、もう帰りましょうか」
ーーと、帰ることを促した。
「……なんでいきなり。ごめん、さっきの電話無神経だったよな。本当に気にしなくていいから」
「そういうことじゃないんです。ただ、私がもう帰りたくなっただけの話なので」
澄人さんは悪くないのに、さっきまで凄く楽しかったのに、つい無神経な態度をとってしまう。



