今後一切お見合いもして欲しくない。
他の見ず知らずの女の人に話しかけるところさえ想像したくない。私は独占欲の塊だ。
露天風呂も堪能しつつ、介助の人の手を借りながら温泉から出る。時刻は既に午後五時だった。
リビングに行くと大画面のスクリーンでテレビを見ていた澄人さんは私に気づき、「ちょいちょい」と、手招きをした。隣に座ったら「好き」と言ってしまおうか。ドキドキしながら悩んでいるとテーブルに置いていた澄人さんのスマホが音を鳴らした。
スマホをジッと見つめる澄人さん。出る気配がないため、「出なくて大丈夫なんですか?」と、それとなく聞いてみる。澄人さんは眉間に皺を寄せて頷いた。
「うん、親父だから」
「お父さんなら、急ぎの連絡じゃないんですか?」
「…………いや、でも今は穂香と一緒だから」
頑なに電話に出ない澄人さん。私は大丈夫なことを伝えると、「分かった」と、しぶしぶ電話に出た。
「あーいや、だから俺もう見合いはしないって言ったよな?」



