住吉さんはスマホを取り出し何やら計算をしている。
「9か月分ですね、大丈夫ですよ、今持っているのでお支払いします」
バッグから遅延金分のお金と思われる札束を机の上に置く住吉さん。そんな住吉さんの対応に、消費者金融者はコロッと態度を変えた。
「これはこれは、ありがとうございます。またお金にお困りのことがありましたら、いつでも貸付できますのでご相談ください」
「完済証明書、ファックスではなく、原本を持参でよろしくお願いしますね」
爽やかな笑顔で手を振る住吉さんに対し、消費者金融の人たちは頭を下げながら出て行った。
本当に頭が上がらない。母と父と私と一緒に住吉さんに深々と頭を下げ「ありがとうございました」と感謝を伝えると住吉さんは「夜まで羽賀さんをお借りしたいのですが……」と、私の母と父に問いかけた。
……え、今から住吉さんと? 戸惑う私を知らんふりするかのように、「どうぞ」と頷く父と母。私はそのまま住吉さんに連れ出される形となった。



