つぐむちゃん、口を開けて。


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 学校で、スマートフォンとにらめっこ。


 検索窓には『好き タイミング』と打ち込んである。

 結果には日常の会話でさりげなく、とか記念日に、とか試したことのある文字列が並んでいた。



「つーぐむちゃんっ、なーに見てんの?」

「ぴゃぁっ……」



 急いで画面を消す。

 千鶴くんに見られるわけにはいかない……!



「え。……なに消したの?」

「……、……」



 嫌な汗が背中を伝う。


 やましいことをしたときの反応をしてしまった。千鶴くんも怪しんでる。

 上手い言い訳は、喉をつっかえて出てこない。



「つ、つぐむ、ちゃん?」

「……、……ぅ」



 何か言わないと。なんでもいいから。

 黙ってるのが一番よくない。



「……な、ない……しょ」



 やっとのことで言えたのは、その一言。

 正しいけど、言葉選びは間違ってる。