つぐむちゃん、口を開けて。





 目を開けたら千鶴くんの腕の中だった。

 どうやら二人して眠ってしまっていたみたい。

 気持ち良さそうに寝息を立てている千鶴くん。寝顔、可愛い……。

 みじろいでなんとか腕を抜け出すと、大きく開いた自分の胸元が目に飛び込んだ。



「……ぅ」



 慌てて上まで留める。

 冷静に自分で見てしまうとかなり恥ずかしい。

 でも、見られる相手が千鶴くんだから。

 大好きな千鶴くんだから……気にしないようにできている。



「ちづ、る、くん……」



 千鶴くんに顔を寄せ、静かに頬へ口付けた。

 無限に湧き出るこの感情は、そんなことでは収まらない。


 も、もう一回くらい、してもいいかな……。


 堪らず近付いたとき。




 ――笑顔の千鶴くんと目が合った。