「の、乗ってあげても良いわよ。その計画」



熟考の末、私はそうボソリと言った。

……ちょっと面白そうだもの、ね。

そう、これは退屈しのぎよ。あくまで退屈しのぎ。


私の言葉聞いた鷹司は、いつもよりも胡散臭さ控えめの優しそうな笑みを浮かべ、右手を胸に当てた。



「かしこまりました。ではこの鷹司、お嬢様を魅力的な悪役にするべく、全力を尽くしましょう」


「そう。楽しみにしているわ」


「……ですが、少々惜しくもありますね」


「え?」




何が? と首をかしげると、鷹司はすっと手を伸ばして、私の髪を柔らかくすくい上げる。

くすりと漏らした笑みは大人っぽい色気があって、気が付けば私は固まったように目が離せなくなっていた。




「本当の貴女の魅力を、わたくしだけが知っている……というのも、そそるシチュエーションだったものですから」


「っ~~!?」




この変態執事め、という言葉が今度こそ口をついて出た。