涙を拭っていると、塩野さんの嘲笑が聞こえてきた。
確かにそう……
こんなので戻るわけないよね……
それでも、じっと輝悠先輩を見つめた。
「何で……」
「輝悠先輩……?」
何かを呟いた輝悠先輩の様子が少しおかしい。
どうしたんだろう……?
「こんな記憶、知らない。何、これ。俺は……グウッ」
頭を押さえ始めた輝悠先輩。
組長さんの米神に突きつけていた拳銃は下に落ちた。
そんな輝悠先輩のことが心配になってくる。
これはいい兆候なのかな……?
それとも、悪い兆候……?
「ウッ、はぁっ、はぁっ……」
「大丈夫ですか?」
不安と期待が入り混じりながら聞くと……
「未珠、ちゃん……?」
輝悠先輩が私の名前を呼んだ。
どうやら元の輝悠先輩に戻ったみたい……
よかった、本当によかった……
「輝悠先輩……!」
感極まった私はぎゅっと輝悠先輩にまた抱きついた。



