コンプレックス

「僕が手を施したんだから、僕がちゃんとケアもしなくちゃね」

 古賀が愛おしそうに茉莉花を見つめる。

「先生……あ、湊さん、これからもよろしくお願いします」

 茉莉花は満面の笑みを向けながら言った。
 そして、心の中で呟く。


『これでまた一人の患者の笑顔に貢献することが出来た』


 美しい人が好き。
 美しい人を作り上げたい。
 美しい人を傍においておきたい。



 おそらく彼は、美容コンプレックスだ。





【完】