吸血鬼さんを起こさないように、そーっとそーっと横を通り過ぎよう。
通路が狭すぎ。
寝ている吸血鬼さんの頭と私の靴との距離、50cmくらいしかないよ。
……って。
ぎゃぁぁ!
仰向けに寝ている吸血鬼さんの目が、ガッと開いたし。
ぎゃぁぁぁぁぁ!
ニヤっと不気味笑いを浮かべながら、手を伸ばしてきたし。
つかまれちゃってる。
私の右足首。
吸血鬼さんの長い手で、ガシっと。
「ややや……、やめてください!」
大声を出し、無我夢中で右足をブンブン振る。
地面を思いきり蹴ったおかげか、捕らえられていた私の足が自由になった。
この隙に!



