イヤホンとアイマスク、装着しておくべきだった。
今バッグから取り出すのも、なんかねぇ。
女子対応が面倒くさくて、俺は外を見つめたままスルーしてみたけれど
「なんで美織ちゃんのこと、嫌いになっちゃったの?」
……えっ?
「あからさまに無視してるもんね」
「親に勝手に結婚相手を決められたら、反抗したくもなるか」
「それな~」
アハハと笑いの渦が巻き起こっている女子特有の結束力に、俺はつい視線を女子達に向けてしまった。
「環くん、気づいてないの? 美織ちゃんって、すっごく優しいんだよ」
そんなこと、俺が一番よく知ってるし。



