ドロ甘な愛を稀血に溶かして



その日の夜、おじいちゃんが何もかも話してくれた。



俺には吸血鬼の血が流れていること。

家族の中でおじいちゃんと俺だけが、吸血鬼に覚醒したこと。



美織ちゃんは人間だけど、吸血鬼に狙われる『稀血(まれち)』の持ち主で。

吸血鬼に噛まれた『稀血の人間』は、もう一度吸血鬼に噛まれると、『稀血のフェロモン』を放ってしまい。

極上においしい血を飲み干したい吸血鬼たちに、居場所をかぎつけられてしまうこと。



でも18歳になり誰かと結婚すれば、美織ちゃんは『稀血(まれち)の宿命』から解放される。

他人のものとなった人間の血を、吸血鬼はおいしいと感じなくなるから。



だからおじいちゃんたちは、まだ5歳だった俺たちを婚約させた。

18歳になってすぐに結婚させて、一日でも早く美織ちゃんが命を狙われない生活を送れるようにするために。