この状況は……
信じられない。
信じたくないけれど……
『俺が……美織ちゃんを……襲ったんだよね……』
やばい……涙が止まらない。
『環のせいじゃない』
『美織ちゃんが死んじゃった……俺のせいで……』
地面に崩れ落ち、「うわぁぁぁぁ」と叫ばずにはいられなかった。
俺は、取り返しのつかないことをしてしまった。
バケモノみたいになって、美織ちゃんの血をすすってしまった。
『落ち着くんだ環。まだ美織ちゃんは生きている。大丈夫だから』
『でも……』
『全部おじいちゃんのせいだからな。環は何も悪くないからな』
過呼吸状態で泣きじゃくる俺の頭を、優しく撫でたおじいちゃん。
「周を呼んでくる」と言って玄関に駆け込み、夜勤明けで家で寝ていた外科医の父さんのもとへ。
お父さんとおじいちゃんのおかげで、美織ちゃんは一命をとりとめた。



