ニヤニヤしながら、抱きしめていた腕をほどいてくれたけど。
ひゃっ、今から何をする気?
「美織ちゃん、外なんか見てないで俺だけを見て」
「……うん」
私は頷きながら振り返ったけれど、すぐに後悔してしまった。
童話の王子様みたいにうっとり微笑む環くんの瞳が、私の瞳をとらえて離してくれない。
私の前に立つ環くんは、私の右頬を手のひらで包み込んだ。
「夢の中じゃ、美織ちゃんの唇の甘さはわからなかったんだ。どんな味か確かめさせて」
かぁぁぁぁぁ。
それって、キスしたいってことだよね?
優しく見つめられながら、甘々なお願いをされちゃった。
拒絶なんてできないよ。
だって、私も知りたくてたまらないんだもん。
夢の中じゃなく現実のキスが、どれだけ甘いのか。



