離れたところにいる環くんに、私は微笑んでみた。
涙でぐちょぐちょな顔のまま、ニコって。
何かを察したのか、環くんの表情が崩れていって。
私の方に手を伸ばしながら、走り出してくれたけれど……
私はね、環くんには生きていて欲しいんだ。
今まで私のために自分を犠牲にしてくれていた分、この先の人生は自分の幸せだけを追い求めて欲しいんだ。
これが私の、心からの願いなの。
叶えてよ、環くん。
「環くん……バイバイ……」
椅子に縛り付けられている状態で、私は思い切り地面を蹴った。
体が後ろに傾いてく。
バシャンと豪快な水しぶきがあがり
「美織ちゃん!」
泣き叫ぶような環くんの声が、私の耳にこだましている。
そのまま私は椅子と一緒に、暗い沼の中に沈んでいったのでした。



