ドロ甘な愛を稀血に溶かして



吸血鬼に扮した黒いマント姿の男が、私の真ん前に立っている。

沼を囲ってあった黒と黄色のロープを、私とイスの背もたれがくっつくようにグルグル巻いていて。


あっ、この人。

お化け屋敷の中の通路で、寝たふりをしていた吸血鬼だ。



男性の顔を確認した時にはすでに、私の体は椅子と一体化されていた。




「美織ちゃんに、何をするんだ!」


顔面蒼白になりながら、環くんは私の方に駆けてきたけれど


「ストップ! これ以上近づいたら、清住美織を椅子ごと沼に突き落とす!」


黒マントの男が、ヤクザ並みのドスの利いた声を張り上げ


「武器も捨ててもらおうか」


今にも蹴り落としそうな勢いで、私の胸の前に足の裏を突き出してきたから


「わかったから。木の棒も捨てるから。美織ちゃんに酷いことをしないで」


環くんは焦り顔で、持っていた木の棒を手放した。