「環くんを残して、一人で逃げるなんてできないよ」
「美織ちゃんは覚えてないと思うけど、俺は一度、美織ちゃんの命を奪いそうになったことがあるんだ。自分のせいで美織ちゃんが死んじゃうかもしれないって、怖くてたまらなくて。あの時の恐怖は、二度と味わいたくない」
「……」
「美織ちゃんは俺にとっての自分の宝物なんだ。自分の命に代えてでも、絶対に守りきってみせるから」
「……でも……レイラちゃんは?」
「彼女に何ふきこまれたかしらいけど。俺は生まれてから一度も、美織ちゃん以外を好きだと思ったことはないよ」
そんなこといまさら言われても、信じられないよ。
だって……
「環くんにずっと避けられてたし……目もわせてもらえなくて……」
「大好きな美織ちゃんを瞳に映しちゃったら、また俺が美織ちゃんを襲うかもしれなかったんだ。だから美織ちゃんの夢の中に入り込んで、めいっぱい美織ちゃんを愛でてた。夢の中のことも、美織ちゃんは覚えてないよね? 夢って目覚めると忘れるものだし」



