「泣くほど怖かったよね。美織ちゃんごめんね。もう大丈夫だから」
「……レイラちゃん……悲しんじゃうよ」
「……えっ?」
「私も辛いよ……私のことなんて好きでもないのに……期待させるようなことされたら……」
寝ころんだまま私から体を離し、驚き顔を浮かべた環くん。
「……ちがっ」
何かを言いかけている途中で、バッと状態を起こし立て膝をついた。
私をかばうように両手を広げ、目の前に立つ紅色スーツの男性を睨みつけている。
牧村さんは緩く波打つ前髪を後頭部に向かってかきあげると、嫌味ったらしい笑顔を浮かべた。
「あぁあ~ いけにえを捧げる儀式が台無しになってしまったじゃないか。珠須島環くん。キミのせいでね」
「なぜ美織ちゃんが稀血の誘い人だとわかった? 吸血鬼に二度噛まれないと、稀血のフェロモンは放出されないはずだ」



