「みおりんは良い子だよね。他人の笑顔のために、自分を犠牲にすることができる。立派だよ。環って子は吸血鬼だ。そしてみおりんは、好きな人のために命を捧げるチャンスがある。この沼は君にとって、最高の死に場所だと思うんだけどなぁ」
「……っ、降ろして」
「はいはい、暴れない暴れない。自分から飛び込む覚悟がないなら、俺がこのまま放り投げてあげる。俺は優しくてキュートな吸血鬼だから」
「やめてください!」
牧村さんは私をお姫様抱っこしたまま、沼に向かって歩き出した。
「邪魔なロープだ」と眉をひそめ、黒と黄色のロープを片手で引きちぎっていく。
目の前に広がる、直径5メートルほどの小さな沼。
建物内が不気味なほど暗いせいで、どれだけ深いのかすらわからない。



