「み~お~り~ん~」
この声……
「俺のお願い、聞いてほしいなぁ~」
ゾンビみたいなダミ声だけど、牧村さんで間違いない。
手首を捕らえられたまま、私は恐る恐る振り返る。
恐怖で涙が製造されそうな瞳で、牧村さんを見つめてみた。
ひぃえ! とびきりの笑顔だ。
笑顔すぎて気持ち悪いくらい。
このお兄さんが食虫植物に見えてしまうのは、私の危機管理能力が敏感になりすぎているからなの?
「鍵ね、あそこの沼に落としちゃったみたいなんだ。みおりん、あの沼に入って、探してくれないかなぁ?」
えっ?
建物の中に沼?
確かにある。
10メートルほど先の左の方に。
黒と黄色いロープで、一周囲われた場所が。
『沼に近づかないように』と注意看板が取り付けてあるのに、入って大丈夫なの?



