後ろなんか振り返っていられない。
恐怖がエナジー源となり、すばやく地面を駆ける。
ここは一階だ。
出口の看板が見えたら、すぐに逃げ込もう。
鍵?
こんな暗い中探しても、見つかるとは思えない。
お化け屋敷の外に出て、スタッフさんに相談すればいい。
広いお化け屋敷の中を、私は思いっきり疾走する。
他の吸血鬼と遭遇していないことが不気味ではあるけれど、今はその方がありがたい。
私の後ろから、もう一つの足音が聞こえてくる。
もしや、さっき地面に寝転んでいた吸血鬼さんなのでは?
「つ~か~ま~え~た~」
手首をきつく握られ、心臓が凍り付く。
私の背中で感じる人の気配。
後ろを振り向いて現実を確かめられないほど、私は恐怖に襲われている。



