とある日のアルバイト。

いつものように出勤時間のギリギリに到着し、シフトの交代をしてまだ少ししか経っていない時間帯。

「…あの、…!すみ…ません…!」

僕が機械の掃除をしていて、気付くのが遅れてしまった。

苦しそうな声をした女性の声が、レジの方から聞こえてきて少し焦りながら顔を出す。

「気付くのが遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした。どうされましたか?」

そう言いながらレジの方まで顔を出したものの、目の前には鎖骨ぐらいまである髪を手でぐしゃりと掴んで抑え苦しんでいる白いワンピース姿に、ベージュに近いような薄い黄色のカーディガンを羽織った若い女性がいた。

「常温の…水って、……あ、…ありますか、見つけ…られなくて…、ヴッ……キモチ…ワルイ…」

(あー、これはほっといたらそのあたりに吐かれるやつだ)

瞬時に理解したね。

就活での質問も、これくらいすぐに理解して受け答えできればいいのに。

そんな思考は、一旦おいておいて。


どうやら話を聞くと、友達に飲みに誘われ、初めてお酒を飲んだのはいいが、得意ではなかったらしく解散してきたらしい。

終電がなくて彷徨っていたところ、このコンビニを見つけはいってきたらしい。

「だ、大丈夫ですか」

明らかに大丈夫ではないのは分かりつつも、常温の水を与えながら一応確認を取る。

「大丈夫じゃないかもです、でも少し水をもらったらよくなった気が………うぅ…。気がする、…だけでした…」

このまま吐かれても困るしなぁ、と思って社員に連絡をした。

控室に通してもいいかの状況を説明して許可が取れたので、移動してもらうことにした。
僕は、こういう人を見ると、どう扱っていいのか分からないが、とにかく横にしたほうがいいのではと思ったのだ。

僕自身も、お酒はあまり飲まないので、応急処置の仕方が全くわからないから、少し…、いや、かなり困っている。