(ひょう)様―っ! 本日も素敵ですわ―っ!」

「豹様―っ! いつも良い香りがするのですが、香水はどちらのものをお使いになっていらっしゃるのですか?」


いつもご令嬢たちが騒いでいる元凶(げんきょう)――(みやび)豹。

モデルのような身長と体型。

偏差値がトップクラスである名門校に通っているという学歴。

世界有数の大企業の御曹司。

いわゆる、3高を持っているこの男に、ご令嬢たちは毎日()きもせずに()びを売りまくっている。

入学当初から、『雅豹はとても人気がある』というウワサを耳にしていたから、どれほどいい男なのかと思っていたけれど……。

まばゆいほどの明るい金の髪。

耳には、ダイヤの形をしている、いかにもお高そうな銀色のピアス。

制服はきちんと着こなしているけど……。

はっきり言って、見た目はチャラくて遊んでそう。


それが、雅豹という男の第一印象だった。

そんな彼を、私は心の中で(ひそ)かに“野獣様”と呼んでいる。


この世にα(アルファ)が存在するとしたら、きっと野獣様のような人を言うのだろう。

もし私がΩ(オメガ)なら、野獣様とだけは絶対に“運命の番”になりたくない。