「はぁ……はぁ……」


野獣様たちから無我夢中で逃げた先は、噴水のある中庭だった。

ここまで来れば、大丈夫かな?

追っ手が来ていないか確認してから、大きく息を吐いて呼吸を整える。


幼いころ、本を読むことにしか興味を示さなかった私を心配して、両親に無理やり運動させられていた時期があったので、運動神経は悪くない。

それに、地味子になる前は、つきまとってくる男子からよく逃げていたこともあって、逃げ足が早くなった。

ベストタイムは、確か……7秒台だったっけ。


とはいえ、4人とは同じクラスだから、結局は……なんだけど……。

とりあえず、ほかの生徒たちに混じって、あの4人に見つからないようにしよう。


ホールに向かう制服の集団が見えて合流しようとすると――。


「ねぇ、そこのキミ!」


背後からひとりの男子学生に声をかけられた。

ふり返ると、隣にはもうひとり男子学生がいる。