やっぱり、アイツは“ただのβ(ベータ)”ではなかった。

俺たちと同じ頭脳を持っているが、俺たちとは異なったフェロモンを放つ。

そして、それは俺の“ラット”を誘発させた。


道理で、バラ園にある“特定のバラ”の香りに誘われるわけだ。


「白居仁愛……アイツの“第二の性”は間違いなく――」


それなら、この学園に来たのも(うなず)ける。


やっと見つけた――俺の“運命の番”。

このときをどれほど待ち望んだことか。

何があっても、仁愛を手放すつもりはない。

絶対に逃がさねぇよ。