「そういえば、ここって立入禁止区域ですよね? 勝手に入ってきたら、明日にでも先生たちに呼び出されて怒られませんか?」
「大丈夫、大丈夫っ! ここは学校の敷地内にあるけど、学校の管轄外のところだから、先生たちが罰する権限はないんだよ。むしろ、先生たちがこの場所に入った日には、確実に首は飛んじゃうね」
とびっきりの笑顔で言うことではない内容だと思うのは、私だけなんだろうか……。
ついさっきまでまともな人だと思ったけど、つかみどころのない変わった人だな。
この場所のことについていろいろ知りたかったけど、やっぱり聞かなければよかったと後悔しそうだったので、そういう特別な場所なんだと呑みこむことにした。
「それよりも、気になることがあるんだけど……」
そう言って、いきなり私に顔を近づけるチャラ男くん。
顔、近すぎるんですけどっ!
「な、なんですか?」
「どうして、キミは俺と豹のフェロモンにあてられてないの?」
は、はいっ!?
チャラ男くんの発言が理解できなくて、一瞬固まる。
「あ、あの……それはいったいどういう意味ですか?」
まるで“俺たちに落ちない女子はいない”って言われているみたいなのですが……。
「実は、俺と豹って生まれつき女の子たちに好かれる体質をしているみたいでね。自然と女の子たちが集まってきちゃうんだよ」
うわぁ……。
この人、自分から“モテます”って言っちゃうタイプの人なんだ……。
さっき、まともな人だと思ったのは前言撤回!
やっぱり、この人苦手だ……。