「ごめん、ごめん。話を聞いている限り、キミがそんなことをする必要はないよ。明らかに豹が悪いんだから」
「そうですか! よかったぁ……」
チャラ男くんの言葉に、ようやくホッと胸をなでおろす。
なんとか裁判沙汰にはならずに済みそうだ。
最初は、チャラ男くんを野獣様と同類だと思っていたから、不安だったけど……。
意外にも、まともな人で助かったぁ……。
「そういえば、ここって立入禁止区域ですよね? 勝手に入ってきたら、先生たちに呼び出されて怒られませんか?」
「大丈夫、大丈夫っ! ここは学校の敷地内にあるけど、学校の管轄外だから、先生たちが罰する権限はないんだよ。むしろ、先生たちがこの場所に入った日には、確実に首は飛んじゃうね」
とびっきりの笑顔で言うことではないと思うのは、私だけなんだろうか。
ついさっきまでまともな人だと思ったけど、前言撤回。
この人は、つかみどころのない変わった人だ。
本当はこの場所のことをもっと知りたかったけど、余計なことは聞かないでおこう。
「それよりも、気になることがあるんだけど……」
そう言って、いきなり私に顔を近づけるチャラ男くん。



