「ははははははっ!! なにそれっ! 超ウケるんだけどっ!!」


いつもの地味子の姿に戻り、落ち着いてチャラ男くんにこの状況を説明すると――。

チャラ男くんは、お腹を抱えながら涙を流して大笑いした。


「あの……全然笑いごとではないのですが……」

「いや……っ。だって、武道有段者の豹が……っ。武道未経験者の女の子に気絶させられるなんて……っ。どう考えても、面白すぎるでしょっ!!」


意識を失っている野獣様を指をさして、また笑い転げるチャラ男くん。

野獣様って、武道有段者だったんだ……。

そんな人を倒してしまうほどの力が私にあったなんて……。

火事場の馬鹿力って、本当にあるんだなぁ。


「あの……私って、殺人未遂で警察に出頭したほうがいいですか?」


すると、チャラ男くんはまた大きく口を開けて笑った。


「ははははははっ!! キミ、面白いねっ!!」

「これでも、結構真面目に聞いてるんですが……」


私の発言の何が面白かったのか全く理解できない。

こっちは、野獣様が私を訴えた場合の損害賠償額を考えるだけで、口から心臓が飛び出そうになっているというのに。