「ぐはっ!」
それがちょうど野獣様の頭に命中してしまったようで。
運悪く、こちらに倒れこんできた。
「きゃあっ!!」
さすがに自分よりも慎重と体重がある男の人を支えることはできなくて、巻き添えを食らう。
お、重っ……。
「ちょっと! 離れてよっ!」
この男、ピクリとも動かないんだけど……。
私、もしかしてヤッちゃった!?
血の気がサァーッと引く。
どうしよう!
これは不可抗力でやったことなのに!
こんなところを誰かに見られたら……私は殺人未遂で問われる!?
相手は超お金持ちのボンボン。
莫大な慰謝料なんて請求された日には……。
うちの家に勝ち目なんてあるわけがない!
「ちょっと! 起きなさいよっ!」
野獣様の胸ぐらをつかんで激しく揺さぶりながら、必死で野獣様を叩き起こしていると――。
「おい、豹! ここにいたのかよ――って、これはいったい……」
野獣様とは別のチャラい男子学生がやってきて、この状況を見られてしまった。
顔の血色がなくなって青くなっていくのを自覚する。
「えっと……こ、これは……その……」
冷や汗がだらだらと流れていく。
終わった、私の人生……。



