「なんだよ、これ……」


野獣様の様子もおかしい。

さっきまで殺気立っていたのに、今は余裕がなさそうで戸惑っているようにも見える。


どんどん熱くなっていって、自分でも制御できなくなる体。

早くなんとかしてほしい。

でも、絶対にこの男にだけは身を(ゆだ)ねたくない。


私が理性を必死で保っている間に、野獣様は慣れた手つきで私のおさげをほどいた。


「そうか……お前だったんだな」


とろけた顔でこちらに熱い視線を向ける野獣様。

ネクタイを(ゆる)めて、色っぽく自分の唇を舌で湿(しめ)らすこの男の姿に、不覚にも見とれてしまった。


――ドクンッ、ドクンッ……。


やめて……。

そんな顔、私に向けないで……。


野獣様から目を逸らすと、あごをクイッと持ちあげられた。