野獣様は運命のお姫様と番いたい。


「痛っ……」

「だったら、なんのためにここに来た? ここは“立入禁止区域”なんだぞ」


た、立入禁止区域!?


「す、すみません……っ! 私、ここが立入禁止区域だって知らなくて」


そうか。

だから、ここにはまったくひと気がなかったんだ。

……というか、それならどうしてこの男も立入禁止区域に入ってるんだろう。

私が勝手に入ったのを見て、追いかけてきたとか?


「そういうことなら、今すぐここから出ていきます。教えてくれてありがとうございました。では、私はこれで!」


雅豹の手を振り払おうとしたけれど――。


「ちょっと待てよっ!」


野獣様は私の腕を強引に引き寄せた。


「な、なに?」

「お前がここに来た目的は、俺じゃなかったのかよっ!」


はい!?


雅豹の言葉に、驚きと困惑が広がる。


どうしてそうなるの!?
私がこの男を狙っているなんて、ありえない。


この男の自意識過剰さに呆れ果てる。