青空の下、きみと一緒に。

「えっ……? 1年生……?」

「葵くんだよ。美少年って噂のある……」


まさかの乱入者に、一軍女子がどよめいた。


「さっきの話、たまたま聞いちゃったんですけど。先輩たちがクラス対抗リレーに一生懸命取り組んでいるのはわかりました」


千賀谷くんの落ち着き払った声に、一軍女子達はしゃべるのをやめた。


「きっと、今日のために毎日たくさん練習して、とても頑張ってたんだと思います。でも、結果ばかりにこだわって、たった1人の失敗を寄ってたかって大勢で責めるのは流石に違うんじゃないですか」

「え……?」

「確かに花澄先輩は転んじゃいましたけど、諦めずに完走しました。最後まで投げ出さずに頑張ったと僕は思います」

「……」

「先輩たちの『クラスのみんな』がリレーで1位を取るって『本当に』決めたかどうかは知りませんけど、もう少し花澄先輩の行動に目を向けてもいいんじゃないでしょうか?」

「……っ、行こ」


後輩に『クラスのみんな』『本当に』を強調したように言われて、何かに気付いたのか。一軍女子たちは気まずそうに、そそくさとこの場を去って行った。