うぅ、緊張してきた……。


グラウンドの真ん中で、まだ走っていない子達と体育座りをして自分の番が来るのを待ちながら、目だけで千賀谷くんを探す。
私のこと、見てくれてるかな?


ミルクティー色のサラサラの髪をしているから、すぐに見つかると思うんだよな……。


「何ボケッとしてんの? 早くレーンに行って」


突然、背後にいた一軍女子にドンッと背中を突き飛ばされた。


いたたたた……。確かに今のはよそ見していた私が悪かったけど、別に強く押さなくてもいいじゃん……。


背中をさすりながら自分のクラスのレーンに並んで、バトンを受け取る姿勢をとる。


ほどなくして、同じクラスの男子が一番乗りで走ってきた。


は……、速っ! って、驚いている場合じゃない!


「あ、あわわわわ……」


顔だけ後ろを向いたまま前に進んで、バトンを受け取って地面を蹴った次の瞬間。