真面目な委員長ちゃんはイケメンチャラ男に翻弄される。

Side鈴


意識を失った紅蘭チャンを抱えた。


「紅蘭チャン。
部屋に寝かせてきてもいいですか。」


紅蘭チャンのお父さんにそう聞くとコクリと頷いて言った。


「ありがとう。2階の手前の部屋。」



教えてもらって紅蘭チャンの部屋にたどり着く。

部屋を開けると整理整頓された綺麗な部屋だった。


紅蘭チャンらしい。

苦しそうに寝ている紅蘭チャンの頭をそっと撫でて部屋を出た。

紅蘭チャンの家族事情はわからない。

だけど紅蘭チャンが前に母親は亡くなったと言っていたからお父さんと2人なんだろう。


「あの。すみません勝手に上がって。」


下にいたお父さんに声をかけると


「ううん。感謝してる。君は?」

「大城 凛と申します。」

「凛くん、か。
さっきはごめんね。情けないところを。」

「いえ。」


何があったんだろうか。


紅蘭チャンと紅蘭チャンのお父さんに。

紅蘭チャンのことを知りたいと思った。
いつもしっかりしてて甘えることを知らないあの子のことが。



「あの「君にお願いしてもいいかな?」


お願い?


「はい。」


俺が頷くと紅蘭チャンのお父さんは切ない顔をして言った。



「鈴のお母さんは亡くなってしまって、それでもあの子は強く生きてる。真っ直ぐに。
けど、
あの子が泣きたい時、無理をして今日みたいに倒れてしまった時、寂しそうにしてる時。
少しだけでもいいからあの子の側にいてほしい。」


「…………はい。分かりました。」



言われなくてもあの子の側にいてやりたいと思っていた。