「………断っ、た?」

「はい。」


もう一度はっきり言うと大城くんはなぜか安堵したようにため息をついた。


「はぁー。なんだ。
ごめん。俺らしくなかったよね。」

「いったいどうしたんですか?」


なんであんな動揺したような感じだったの?


「ごめん。
まあ、紅蘭チャンがあいつと付き合ってたらと思ったらつい。」



「紅蘭チャン。ごめん。」

「………。」

珍しくしおらしい態度で謝ってくるもんだから驚く。


「ほんと、ごめん。
俺のこともっと嫌いになった?
呆れた?怖かった?
押し倒して嫌だった?
もう嫌にっ「大丈夫ですから!落ち着いてください!」


怒られている子犬みたいな目で急に謝ってくるもんだからさらにびっくりして慌てて言葉を繋ぐ。

「大城くんのだらしないダメなところもう知ってますから。今更です。
しかも、反省してる人に罵るほど性格悪くありませんから。」


なぜか私は下を向いている大城くんの頭に手が伸びていた。

「なんでそんな取り乱しているのかは分かりませんけど、もういいですよ。」


それからは大城くんが落ち着くまで私の手は大城くんの、頭から離れることはなかった。


嫌いなはずなのに。
だらしなくて見ててイライラしてるはずなのに。


少しだけ、そんなに泣きそうになって取り乱す君のことを知りたいと思った。