私は未だに理解できずにいる。


断った…………?
ていうことはあの子じゃなかったんだ。大城くんの好きな人。


ホッとしたのに何故か涙は止まらない。



っ、もうっ………。

こんないつまでも泣いて。
いつこんな弱くなったんだろう。

必死に涙を拭っていると、



「そこにいるのは誰ですかー?」



ビクッ


大城くんには人がいるのがバレていたみたいだった。

誰かは分かっていないのかな。


とりあえず謝らないと盗み聞きみたいになってしまったから。

出て謝ろうとしたけど大城くんがこっちに向かってくるのが先だった。




「え!!?紅蘭ちゃん!?」


教卓の中を覗いた大城くんはびっくりして固まっていた。


「あぁ〜。あのっ。すみませんっ。
えと、そんなつもりなかったんですけど。」

「あ、うん?別にそれは全然いーんだけど。
なんで泣いてるの?どっか痛い!?大丈夫?」


退院仕立てという事ですごく焦ってる大城くん。


痛いわけじゃなくて


「あぁー。えとあの、悲しくて、ホッとして?」

「え!?何が。」


あの2週間の間によほど心配かけてしまったみたいだ。
今日の朝からずっとこまめに体調きいて聞いてきてなんだか過保護になってしまっている。


それがなんだか………好きな人から心配されるのは少し嬉しかったりもした。


けれど泣いているからかあまりにも取り乱す大城くんを落ち着かせるのに必死で



「あの大丈夫です。ただ大城くんの好きな人があの人じゃなくて良かったていうか───── って……………ぁ。」

「え。」


ぇ。あぁ、何言ってるの私。

これではあなたが今告白した子と付き合うのが嫌って言っているようなもんだ。


あぁっ。
いやまぁそのうちちゃんと告白しようと思ってたんだけど。


必死になってたらついついポロッと本音が出てしまった。



ほら大城くんはこれでもかってほど目を見開いてる。

もういっそ今思いを伝えてみようか。
こんなうじうじしてるぐらいならちゃんとケジメをつけたい。

『自分が正しいと思ったことをして、思いやりでいっぱいの子になるの。』



"自分が正しいと思ったことを。"


後悔しない。


スゥーと息を吸って大城くんを見つめる。


「あの………さ。紅蘭ちゃん。」


覚悟を決めたところで大城くんが真剣な顔をして言ってくる。