大城くんが告白されているようだ。


ズキっと胸は痛むけどそれよりも自分の中で盗み聞きになってしまった後悔が大きくて。


でもそうしている間にも会話は進んでいく。



「付き合ってよ。
ほら私達中学の時に同じ席になったことあったじゃん。で、いっぱい話して好きになった。
中学の頃からずっと好きだった。

凛好きな人いるんでしょ。

その子よりも私幸せできる自信あるよ?」


ズギッ


なんて答えるんだろう。


もしかしたら大城くんの好きな人ってこの子かもしれない。

だったら………付き合う、んだよね。


2人がつきあったらこれまでみたいに好きなアーティストの話したり一緒に帰ったり出来ないか。


そんなの、


…………やだなぁ。



2人が付き合うと思ったら悲しくて悲しくて。


涙で視界が滲む。


分かってた。

分かってたよ?好きな人がいるって。
だから大城くんが幸せになるならそれでいいよねって思ってたじゃん。


何を今更…………。


泣き声が聞こえないように必死に声を押し殺す。


大城くんが何を言うのか聞きたくない。


けど、少しの沈黙の後に大城くんの


「ありがとう。」



って声が………聞こえて、しまった。



 あぁ、やっぱり。
付き合うんだ。


大城くんもあの子のことが好きなんだ。


結局、怖がっていた結末になってしまった。



あぁーあ。




「でもごめん。
やっぱり俺はあの子が好きなんだ。
栄の気持ちには応えられない。」



え?
大城くんが次に放った言葉が信じられなくてフリーズする。



「っ、そっか…………。分かった。頑張ってね?」

「うん。ありがと。」



女の子が教室から出て行った。