「凛、好き。」



なんでこうなったの。



人生で1番と言っていいぐらい私は今後悔している。


はぁーとため息をつきたいけどこの教卓の中では身動きもできない。



あの日お父さんと和解できた日から1週間が経ち私もようやく退院して久しぶりに学校に来れた。


ちなみにあの後、依が病室で私が目を覚ましているのを見て泣き止ませるのが大変だった。

かなり心配かけたみたいだ。


というわけで久しぶりの学校でなんで私がこんな意味の分からない状態にあるかというと



ことの発端は10分前……………。


キーンコーンカーンコーン


「はい。終わり。次のところはきちんと予習しておくように。」




今は4時間目。理科室で実験があった。

チャイムの音と同時に先生の声で授業が終わった。

ぞろぞろ理科室から教室に戻ろうと立ち上がる生徒達。


忘れ物は?


たまにハンカチや筆箱など忘れる人がいるから理科室を見回して私も出ようとするけど  



「あっ。」



黒板が消されていないのを発見した。


そして、黒板消しで消していると


「誰も人がいないからここでいいかな。」

「うん。いいよー?」


女の子独特の高い声と聞き慣れた大城くんの声が聞こえてくる。


え。入ろうとしてる?

慌てて出ようかと思ったけど間に合わなくて私は咄嗟に教卓の下に隠れてしまった。



ていうか、良かったのでは。
普通に出れば。


なにもやましい事なんてなくただ黒板を消してただけなんだから。


失敗した。

今からでも出ようか。
これでは盗み聞きするみたいで良くない。


うん。出よう。
サッと目立たないように音を立てないように扉まで向かえばいいだけだ。

扉は運良く開いてるしすぐ近くだ。


よし。


そう思って出ようとした時



「好き。」



で現在に至る。


もっと出れなくなってしまった。