え?
電話?誰に………?




いきなり大慌てで謎にここから出て行った大城くんは10分経っても戻ってこなかった。


何かあったのかもしれない。
連絡してみようか。
いや向かった方がいいかもしれない。


そう思ってベットから出ようとした時



「鈴っ!!」


バタッンと扉が勢いよく開いた。


おとう………さん?



お父さんは私を見て泣きそうな焦ったようなホッとしたような顔をしていた。



「よ、かった…………。」

「え?」


「よかった。ほんとっ〜〜によかった。
また、失うかと思った。」


こっちに近づいてきたと思えば手を握ってきて。


ていうか泣いてる…………。



「お父さん。大丈夫?」


さすがにこんな再会の仕方になるとは思ってもいなくてびっくりした。



「ごめん………。ごめんな鈴。本当に。ごめん。」


泣きながらただただ謝ってきた。


お父さん…………。



お父さんは私のことなんてどうでもいいと思ってた。
あの日、お母さんに連れられて家を出た日からずっとずっとお父さんは女の人しか愛していないんだと思ってた。


だけど


「心配、してくれたの………?」

「当たり前だろっ。」


泣いているお父さんを見てギューと胸が痛くなった。



「すず。
全部許されることだと思ってないけど話していいか?」



コクリと頷くと話し始めた。



「鈴が小学生になる前、大企業で働いていた俺は突然クビになった───── 」