ぷかぷかと浮いている。心地のいい。


ここはどこだろう。

できればこのあったかい場所にいたいなぁ。
あ、でもダメか。

なんかまだ大切な人と向き合えてなかった。

しっかりしないと。




「───── ず。
………す…。」



ほら、誰かが呼んでる。

だれ?



「鈴っ!!」

「わっ!」



突然目の前に人が現れてびっくりして尻餅をつく。


そっと目の前の人を見ると


「お母さん!!」




お母さんの顔を見てだんだんと思い出してくる。


道路に引かれそうになった双子ちゃん達を助けようとしたけど私は間に合わなかったんだ。


それに信じられないけどお母さんがいるってことはやっぱりここは天国?


嬉しい。お母さんにまた会えた。


「お母さん。」


そっと抱きついた。


「ごめんなさいね。鈴。
1人残して死んでしまって。」

「ううん。また会えたからいいの。
これからまた一緒にいられるから。」



お母さんとまた一緒にいられる。


きっとあの双子ちゃん達は無事だ。

それだけで満足。
2人には立派に楽しく生きてほしい。



「すず〜?よくやったね。
鈴はあの双子ちゃん達を守ったの。
優しい子に育ってさすが私の娘。」

「ふふっ。」


頭を優しく撫でて微笑んでくれた。


「でもね、鈴はまだこっちに来ちゃだめ。」



え………?なんで?



「私はね。お父さんのこと恨んではいないわ。」

「え?」


お母さんの口からお父さんの名前が出てきてびっくりする。



「確かにお父さんがしたことは悪いことだし、傷ついたけどお父さんのことは大好きよ。

でも………、お父さんも昔はあぁじゃなかったわ。あることをきっかけにあんなふうになっちゃっただけ。



私のせいでお父さんと鈴の間に溝を作っちゃったわ。」

「お母さんのせいじゃないよ。

私ね、お父さんと向き合うって決めたの。
お母さんが安心できるようにちゃんとお父さんとの仲少しずつ縮めていくから。」


「ありがとう。
お父さんをよろしくね。」



そう言われてコクリと頷くと嬉しそうに笑ってくれた。


でも、またお父さんと会えるのかな。
もう死んじゃったんじゃ。



「ここを真っ直ぐね。」


心配しているとお母さんが指差して言ってくれた。


「最後に!」


ぎゅーと抱きしめてくれた。



「大城…………凛くんだっけっ?
かっこよくて優しい男の子じゃない!


自分の気持ちに素直になるのよ〜?
あの子とならきっとうまくいくわ。」



………っ。もうっ。お母さん。

 



お母さんは今までに見たことのないからかうようなお茶目な顔で笑っていた。




大城くん…………。



待ってて。