よし。
朝の仕事もひと段落して席に着き、シンとした教室で1人読みかけの方を読もうかと思ったとき
「紅蘭ちゃん。」
聴き慣れた大城くんの声がして振り返る。
「あ、おはようご───── っ!?」
え?え?えっ。
今間違いなく目の前にいるのは大城くんだ。
いや、見間違いかもしれない。
「あの、失礼ですが。大城くんでしょうか。」
思わずこんな質問をしてしまう理由は
───── いつもの大城くんじゃなかったから。
私が知ってる大城くんはいつまで経っても直さない明るい金髪と着崩した制服、そして耳に着いたピアスだ。
なのに、今目の前にいる人は
黒髪できっちりと着こなしている制服、耳には何もついていない。
それなのに─────
「ふっ。大城凛だけど?
紅蘭ちゃんびっくりした?」
堂々と名乗った目の前の人はやっぱり正真正銘
大城凛。
…………らしい。

