真面目な委員長ちゃんはイケメンチャラ男に翻弄される。

Side凛


ひとまず良かった…………。



でも。ここからだ。
今が宵と向き合う時。



『今の大城くんならきっと大丈夫です。』




紅蘭チャンがいってくれた言葉を思い出してスゥーと息を吸って


「宵。あの「なにっ。今更。」



ズギッ


話そうとすると鋭い刃で遮ってくる。



でも…………、そんなの当たり前だ。


宵が前に話しかけようとした時に俺は突き放したんだから。

今思えば宵の方がよっぽど大人だった。

あの時笑顔で話しかけてきた宵は悲しみから立ち上がろうと兄の俺に声をかけようとした。



「確かに今更なんだって思うよな。


…………ごめん宵。」

「っ。」 


宵は悔しそうな顔をして顔を背けた。



「母さんと父さんが亡くなってお互いすごく泣いたよな。
それなのに、俺は兄として励ますことさえできずに泣いてる宵をほっといて突き放した。


ほんと、…………兄失格。」



「…………そんなこともうどうでもいいの気にしてないのっ。
私が言いたいのはっ。」


顔を歪めて宵は言う。


「あの時一緒支え合っていたら良かったのに。



お兄ちゃんが女の人と遊んだりしてるところ何回も見た。
でもお兄ちゃんは─────


………っ、もういい。」



宵は目に涙を溜めながらにそう言うけど、
唇をグッと噛んで俺に背中を向けて走りだした。



………っ。

今、宵はなんて言おうとした?
どう思ってる?


向き合うって決めたから。
昔自分がしたことに折り合いをつけるって決めたから。



追いかけようとした時、


「どいてよっ。」


宵が走っていった方から、声が聞こえてそこを向くと紅蘭チャンと宵が向き合ってるのが見えた。


「お兄さんに本音ぶつけてください!

………じゃないと後悔しますよ。」


優しい顔をして宵に語りかけている。


「お兄さんとに向き合いましょう?

大切な人を突然失ってしまうことがどんなに辛いことかわかります。私も………母を亡くしてるので。


だからこそたった1人のお兄さんと向き合うべきです。宵ちゃんにも大城くんにも後悔、してほしくないので。」



紅蘭チャン……………。

切ない顔でそっと微笑んだ。

そして、紅蘭チャンの方に向けていた宵の背中をくるりと回してそっと俺の方へ押す。



再び宵と俺が向き合う形になって。



「お兄ちゃん…………。」