Side鈴
「───── 今日久しぶりにかおりに会った時、昔に戻ったみたいだった。
かおりにもう一度手を差し伸べられて情けないことに怖くなって、震えた。かおりに頼ってしまいそうだった。
またかおりの手を取って同じことを繰り返して結局はまた1人。虚しい思いをするのが怖かった。
だって、俺は何も変わってない。
俺は1人のまま。
いくら女の子がいたって満たされるのは一瞬だけ。」
大城くんは切なそうに目を細めた。
でも、でも…………そんなことない。
大城くんは変わってる。
だって ─────
「寂しさを埋めるために女で遊ぶ。
それは最低です。どんな理由があっても最悪な行いです。
でも……………
あの時、踏みとどまれたじゃないですか。」
はっきりと口にすると
「うん。
あの時、怖くてかおりに頼ってしまいそうに
なって不安で怖くてしょうがなかった時紅蘭チャンが真っ直ぐに見てくれたおかげで
───── 「今」を取り戻した。
紅蘭チャンが目の前にいてくれたから。
ありがとう。」
「いいえ。
頑張り、ました…………。」
そっと大城くんの頭に手を置いて優しく撫でた。
すると大城くんはくすぐったそうにして
「だいぶ恥ずい…………。
でも後、一つ向き合わないといけない人がいる。」
そっか。
「…………今の大城くんならきっと大丈夫です。」
大丈夫。
保証する。
今なら、いやこれからも大丈夫だろう。
だって大城くんは変われたから。
それから私達は公園を出て歩いていると思い出したように大城くんがハッとして
「あっ。ねぇお礼といったらなんだけどー、
俺達の好きなアーティストの新しい特別CD抽選で2枚当たったのー
良かったらいる〜?」
え!?
うそっ!
新しいCD!?
私も欲しくて応募したんだけど当たらなかった。
だからすごく落ち込んだんだけど。
大城くん当たったんだ!?
「ほしい!!」
あ、でも……………
「申し訳ないです。」
人が当たったものをもらうなんて。
せめてお金を渡そう。
「ふっ。ほしーいんでしょ。
じゃ、今からサッと渡すから俺の家くるー?」
「はい!」
申し訳なくて躊躇ったけど欲望に負けてせっかくだから貰いにいくことにした。

