真面目な委員長ちゃんはイケメンチャラ男に翻弄される。

Side凛



うちは家族4人。妹の宵(よい)と俺、母さんと父さん。
裕福ではなかったけどそれなりに苦労することなく暮らせて、お金に困るということもなく極々平凡な家族だった。



俺が中学3年生、宵が中学1年生の時、

俺が言った言葉を栄に地獄はやってきた。



「母さん達さ、俺たちは勝手になんか食べるから外食してきたら?たまにはオシャレなレストランで美味しいもの食べてきなよ。」


たまには2人で外食でもして楽しんできてほしい。


そんな想いで母さんと父さんの結婚記念日で2人でレストランに食べに行くよう勧めた。



そしてその帰りに





──────── 事故で2人とも死んだ。




受け止めきれなかった。何か悪い夢なんだって。

なんでうちの両親がこんな目に遭わないといけなかった?
こんなことなら外食になんて言わなければ良かった。


悔しくて悔しくて、底知れない悲しみから立ち直れなかった。


親戚は俺達2人の面倒なんて見れないとお金だけ渡されて兄妹2人で暮らすことになった。

抜け殻のような毎日。


自分のことでいっぱいで、悲しみに溺れないように生きていくので精一杯で妹のことなんて気にしている余裕なんてない。


宵が毎晩俺と同じように悲しんで涙を流しているのは知っていた。


俺はあまりのショックで涙さえも出ない。

宵に声すらかけれずお互い口もきかずにただただ色のない毎日を過ごしていた。


兄として最悪だ。
もっと兄らしく妹に寄り添うべきだ。

とは分かっていたけれど実際に動くことは出来なかった。



そして両親が亡くなり1ヶ月経ったある日


「お兄ちゃん。ご飯食べよう。」



宵が笑顔で声をかけてきた。


なんで…………?
お前はもう平気なのかよ。

そんな平然とした顔でいられるのかよ?


俺は未だにご飯すら食べる気がしない。
何をしてても楽しくならない。



「ごめん、いらない。」




そう言ってなんとなく外に出た。




母さん。父さん。
どうすればいい?


夜の18時は十分薄暗かった。



ぶらぶらと街に入る。


すると手を繋いでる親子の姿が目に映った。

手を繋いで肩を寄せ合う男女がいた。

友達同士で遊んでる男子達がいた。




虚しい……………。



母さんも父さんもいなくなって誰も俺を必要としない。

誰からも愛されない。

誰からも何も、ない。



………じゃあ、生きてる意味もない。



思考が真っ暗に塗り潰されそうになったその時



「どーしたの!暗い顔して!」



綺麗な顔をした女の人が目の前にいた。




それがかおりだった。