かおりさんはそんな大城くんをみて笑ってた顔からスッと笑顔が消え去って冷たい顔で笑った。




「ふっ、何よ。さっきは私の元へ来ようとしたくせに。
どうせあんたはその女にも愛想尽かされるに決まってる。」



自分のところに来なかったからか、ふっ、とバカにしたように嘲笑ってさらに


「まぁ〜?
あんたなんて所詮いいところなんて、顔ぐらいだしぃ?ただ落ち込んでたから声かけてあげたらすーぐ懐いて"かおり〜かおり〜"って言ってたくせに。」


は?
いいところなんて顔ぐらい?


「ちょっと遊んでやろうかなーと思ったら本当に好きになるんだもんー。
あんたなんか好きになるわけないじゃーん。
いつまでも両親がいなくなった悲しさを終わられることができずにずっーと弱くてちっぽけ。
顔だけの空っぽな弱っちー人間なのよ。可哀想に。
だから───── 」



かおりさんの開いた口は止まらない。


顔だけ?
空っぽ?
弱い?



大城くんを見るとただ俯いてるだけ。


このふざけた女の人の声を聞いているとブチッとなにかが切れる音がした。




「───── ないでください。」

「え〜ぇ?なんか言った?」



「ふざけないでください!!
どこまで侮辱すれば気が済むんですか!!
顔だけ?空っぽ?弱い?
ふざけんな!
あなた大城くんから何かされたんですか?
さっきから有る事無い事否定されないことをいいように侮辱して。
いいことをしているとお思いで?
だったら人間として間違ってます。
だとしたら大城くんよりよっぽどあなたの方が人間できてないと思います。
しかもねぇ、大城くんのことを空っぽなんていうならあなたはそれよりとてもとってもとーっても下だと思います。
それに顔だけなんていうのは大城くんのことを
知らないからですよ。
この人はね、チャラいし女で遊ぶ最低な人ですけど優しさはあるんです!
人を気遣う心を持ってるんです。
あなたが知らないだけなので顔だけだなん冗談でも言わないでください。
それに「紅蘭チャン。もう───── 」



大城くんから声をかけられてようやく我に返った。



あぁ、またやってしまった。


でもすっかりイライラで色々言ってしまったけれど私が言ったことは間違ったとは思わない。

でも大城くんから止められたからこれ以上私がらどうこう言うのはおかしいだろう。

それに私だって…………


スッーと息を吸って心を落ち着かせて言う。


「私は昔のあなたと大城くんの間に何があったのかは知りません。
私は昔、大城くんがあなたに何かしてあなたが嫌な思いをしたかもしれない。私は分からないです。知りません。
なので今、表面上の見え方だけで私も口にしたということもあります。
それは申し訳ないと思っています。
謝ります。


ごめんなさい。」



この人が最低なことを言ったのは事実だ。
だけど昔のことなんて私には分からない。
大城くんとかおりさんがどんな関係だったのかも。
だから何も知らずに我を忘れて言ってしまったのは私も悪かったのかもしれない。


だから誠意を込めて頭を下げた。



「な、なによ。だいたいね「あなたも大城くんに謝ってはどうでしょうか。
目の前の人をあなたが発した言葉で傷つけたのは事実ですから謝るべきだと思います。」


「はぁ?」



当然だ。大城くんにとって傷つく言葉を発したのだから。それは紛れもない事実。



真っ直ぐにかおりさんの目を見て離さないでいるとかおりさんは嫌そうな顔をしていたが少し経って


「すみませんでした!これでいいんでしょ!



…………なんなのこの女───── 」



とあまり反省してなさそうな態度だったけれど謝って真っ赤な顔をしてぶつぶつ言いながら去っていった。